「投資信託の税金は何となく理解できる。でも、ゴールドは急に難しく感じる」
「NISAは非課税って聞くけれど、金も同じように考えていいの?」
こうした声は、これまで多くの方とお金の話をする中で、何度も耳にしてきました。
投資経験がある人ほど、かえってここで立ち止まってしまうことも少なくありません。
税金の話は、知らないままだと不安になります。
「あとで思わぬ税金がかかったらどうしよう」
そんな気持ちが、投資そのものを重たくしてしまうこともあります。
でも実は、投資信託もゴールドも、
税金の仕組みは“ある一つの考え方”で整理できます。
それが「譲渡益課税」です。
この視点を持つだけで、
「なぜNISAは非課税なのか」
「なぜ現物の金は扱いが違うのか」
が、一本の線でつながって見えてきます。
この記事では、
投資信託とゴールド投資の税金の違いを、
専門用語に振り回されず、
一枚の地図を広げるような感覚でやさしく整理していきます。
読み終えるころには、
税金が「怖い存在」ではなく、
自分を守るための知識に変わっているはずです。
まず大前提|税金は「商品」ではなく「利益」にかかる

最初に、いちばん大切な前提からお話しします。
ここを取り違えると、税金の話は一気に難しく感じてしまいます。
税金は、投資信託かゴールドかで決まるものではありません。
「いくら儲かったか」――つまり利益に対してかかる、というのが基本です。
- 安く買って高く売れた → 利益が出る → 課税対象
- 買った価格と同じ、または損をしている → 原則、税金はかからない
ここで、数字を使って一度だけ整理してみましょう。
たとえば、
投資信託でもゴールドでも、
100万円で買って、120万円で売れたとします。
- 売却価格:120万円
- 購入価格:100万円
- 利益:20万円
税金の世界では、
この「20万円」だけが注目されます。
「投資信託だから」「ゴールドだから」という理由で、
ここが変わるわけではありません。
ただし、ここから先で差が出てきます。
それが、
「どんな商品を」
「どんな口座で」
持っていたか、という点です。
同じ20万円の利益でも、
- NISA口座なら → 税金はかからない
- 課税口座なら → 約20%が税金
- 現物の金なら → 譲渡所得として計算(控除や保有期間の考え方あり)
つまり、税金の正体はとてもシンプルで、
「何で儲けたか」よりも
「どういうルールの箱に入っていたか」で決まる、ということです。
この視点を持って読み進めていただくと、
投資信託・ゴールド・NISAの違いが、
感覚的にもスッと整理できるはずです。
投資信託の税金|基本はとてもシンプル

投資信託の税金が「分かりやすい」と言われる理由は、
お金の増え方と、税金のかかり方がとても素直だからです。
投資信託で得られる利益は、主に次の2つに分かれます。
- 売却したときの利益(譲渡益)
- 分配金
まずは、多くの人が使っている「課税口座」から見てみましょう。
課税口座(特定口座・一般口座)の場合
- 譲渡益:約20%課税
- 分配金:約20%課税
ここで、数字を使って一度だけ確認してみます。
たとえば、投資信託を100万円で購入し、
数年後に120万円で売却できたとします。
- 売却価格:120万円
- 購入価格:100万円
- 利益:20万円
この20万円に対して、約20%の税金がかかるため、
- 税金:約4万円
- 手元に残る利益:約16万円
とても機械的で、迷いがありません。
「利益 × 税率」、これだけです。
さらに、多くの方が利用している特定口座(源泉徴収あり)なら、
この税金は自動で差し引かれます。
原則として、確定申告の手間もありません。
だから投資信託は、
税金のことで悩みたくない人にとって、非常に相性がいい投資なんです。
NISA口座の場合
- 譲渡益:非課税
- 分配金:非課税
同じ例を、NISA口座で考えてみましょう。
100万円で買った投資信託が120万円になった場合、
- 利益:20万円
- 税金:0円
- 手元に残る利益:20万円
課税口座と比べると、
同じ運用でも、手取りに約4万円の差が生まれます。
この差は、1回だけなら小さく見えるかもしれません。
でも、積立投資を10年、20年と続けていくと、
安心感の差として、確実に効いてきます。
だから僕は、
投資信託については基本的にこう考えています。
「投資信託は、NISAという“非課税の器”に入れてあげることで、
いちばん素直に力を発揮する」
このシンプルさがあるからこそ、
次の章でお話しするゴールド投資との違いも、
よりはっきり見えてくるはずです。
ゴールド投資の税金|投資信託との決定的な違い

次に、ゴールド投資の税金です。
ここが、多くの人が「急に難しく感じてしまう」ポイントかもしれません。
でも安心してください。
仕組みそのものは複雑ではなく、
考え方が投資信託とまったく違うだけなんです。
現物の金(地金・金貨)を売却した場合
地金や金貨など、現物の金を売ったときの利益は、
投資信託のような「金融商品」ではなく、
「譲渡所得」として扱われます。
- 利益 = 売却価格 − 購入価格 − 手数料
- 年間50万円の特別控除がある
- 5年超保有で税制がやさしくなる
この3つが、ゴールド投資の税金を理解するための軸です。
ここで、数字を使って一度だけ整理してみましょう。
たとえば、
- 100万円で金を購入
- 数年後に160万円で売却
この場合の利益は、
- 売却価格:160万円
- 購入価格:100万円
- 利益:60万円
ここで登場するのが、50万円の特別控除です。
- 利益60万円 − 特別控除50万円
- 課税対象:10万円
つまり、
60万円も儲かっているのに、税金の計算対象は10万円だけになります。
これが、投資信託との大きな違いです。
投資信託なら、60万円すべてに約20%の税金がかかります。
さらに、金を5年を超えて保有していた場合、
この10万円に対する税率も、
長期譲渡所得としてさらに軽くなります。
ここまで見ると、
ゴールドの税金は「厳しい」どころか、
時間をかける人ほど、自然にやさしくなる設計だと感じられるはずです。
だから僕は、ゴールド投資をこう考えています。
ゴールドは、
短期で売買して利益を追いかける資産ではなく、
「時間を味方につけながら、人生を守るための資産」
なお大切な点として、
現物の金はNISA口座では保有できません。
その代わりに、NISAとは別のかたちで、
長期保有に報いる税制が用意されています。
この違いを理解しておくと、
次に出てくる「金ETF」「NISAとの使い分け」も、
迷わず判断できるようになります。
金ETF・金連動投資信託の税金

「じゃあ、NISAで金は使えないの?」
ここまで読んで、そう感じた方もいるかもしれません。
その答えが、
金ETFや金連動型の投資信託です。
まず大切なのは、ここでの考え方の違いです。
- 現物の金:実物資産(モノ)
- 金ETF・金投信:金融商品(値動きを買う)
金ETFや金連動投資信託は、
証券口座で取引する金融商品なので、
NISA口座で保有することができます。
- NISA口座:譲渡益・分配金ともに非課税
- 課税口座:利益に約20%課税
ここで、数字を使って一度だけ確認してみましょう。
たとえば、金ETFを100万円分購入し、
金価格の上昇により130万円で売却できたとします。
- 売却価格:130万円
- 購入価格:100万円
- 利益:30万円
課税口座の場合
- 利益30万円 × 約20%
- 税金:約6万円
- 手元に残る利益:約24万円
NISA口座の場合
- 利益:30万円
- 税金:0円
- 手元に残る利益:30万円
同じ金価格の上昇でも、
口座が違うだけで、手取りに6万円の差が生まれます。
この違いは、短期では小さく見えるかもしれません。
でも、積立や長期運用を続けていくと、
「効率の差」として、じわじわ効いてきます。
だから僕は、金ETFについてはこう考えています。
金ETFは、
「金価格の上昇」というエンジンを、
NISAという非課税の道路で走らせるための道具
一方で、現物の金は、
税制も役割もまったく違います。
・金ETF:値動きを効率よく取りにいく
・現物の金:時間と実物で守る
この役割分担を理解しておくと、
「なぜ現物はNISAに入らないのか」
「なぜETFはNISAと相性がいいのか」
が、自然に腑に落ちてくるはずです。
一枚の地図で整理|投資信託とゴールドの税金比較

ここまで、
投資信託・現物の金・金ETFと、
それぞれの税金の考え方を見てきました。
一つひとつは理解できても、
「結局、どう違うのか」を頭の中で整理するのは、
意外と難しいものです。
そこでここでは、
税金の扱いを“一枚の地図”として、
俯瞰して見てみましょう。
| 投資対象 | NISA利用 | 税金の扱い | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 投資信託 | 可能 | NISAなら非課税 | 管理が簡単 |
| 金ETF・金投信 | 可能 | NISAなら非課税 | 価格連動型 |
| 現物の金 | 不可 | 譲渡益課税 | 長期保有で有利 |
こうして並べてみると、
「どれが得か」という話ではないことが、
自然と見えてくるのではないでしょうか。
それぞれは、
役割がまったく違う資産なんです。
- 投資信託:お金をコツコツ育てるための資産
- 金ETF・金投信:値動きを効率よく取りにいく資産
- 現物の金:時間をかけて守るための資産
税金の違いは、
その役割を実現するための「設計の違い」とも言えます。
だからこそ、
どれか一つを選ぶ必要はありません。
自分の目的に合わせて、
使い分けたり、組み合わせたりすればいい。
この地図を頭に入れておけば、
これから新しい投資商品を見たときも、
「これはどの箱に入るものか?」と、
落ち着いて判断できるようになります。
どちらを選ぶ?|考え方の目安

ここまで読み進めて、
「じゃあ、自分はどれを選べばいいんだろう」
そんな疑問が浮かんできたかもしれません。
でも、先に一つだけお伝えしておきたいことがあります。
ここに“正解・不正解”はありません。
大切なのは、
いまの自分が、何を一番大事にしたいかです。
税金をできるだけシンプルにしたい人
税金の計算や確定申告を、
できるだけ考えずに投資を続けたい。
そんな方には、
NISA × 投資信託(または金ETF)
という組み合わせが、自然です。
非課税という分かりやすさがあり、
「増えた・減った」だけを見ていればいい。
日々の生活の中で、
投資が重荷になりにくい設計です。
資産を「守る」目的が強い人
値動きよりも、
「いざというときに、そこにある安心感」を大切にしたい。
そんな方には、
現物の金を、時間をかけて保有する
という選択が合っています。
ゴールドは、
短期で増やすための資産ではありません。
時間とともに、心の支えになっていく資産
です。
税制も、
長く持つ人ほど、やさしく設計されています。
繰り返しになりますが、
どちらか一方を選ばなければならないわけではありません。
NISAで投資信託や金ETFを育てながら、
現物の金を“保険”として持つ。
そんな組み合わせも、とても自然です。
投資は、
誰かの正解をなぞるものではなく、
自分の人生に合う形を選ぶもの。
ここまで読んで、
「これなら続けられそう」
そう感じた選択が、あなたにとっての答えです。
まとめ|税金は、投資を怖くするものじゃない

税金の話というと、
「取られる」「減らされる」
そんなイメージを持つ人が多いかもしれません。
でも本当は、
税金は、投資を怖くするためのものではありません。
知らなかったことで、あとから後悔しないための
心の準備
です。
投資信託の税金がシンプルなのは、
迷わず続けられるようにするため。
NISAが非課税なのは、
長く育てる人を応援するため。
そして、ゴールドの税制が独特なのは、
「急がなくていい」「慌てなくていい」
そんなメッセージが込められているからだと、僕は感じています。
NISAは、
追い風をくれる制度。
ゴールドは、
嵐の日に心を守ってくれる資産。
どちらが優れているかではなく、
役割が違うだけ。
その違いを理解したうえで選べば、
投資は、数字の世界だけのものではなく、
あなたの人生に寄り添う存在になります。
焦らなくていい。
比べなくていい。
あなたのペースで、あなたの形を選べばいい。
この記事が、
税金への不安を少し軽くし、
これからの資産づくりを考えるうえでの
静かな支えになれば、これほど嬉しいことはありません。
※本記事は一般的な税制情報をもとに作成しています。
実際の税額・申告要否については、税務署または税理士にご確認ください。
参考情報・公式ソース
-
国税庁|譲渡所得の計算方法
No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)|国税庁 -
金融庁|NISA制度の概要
NISAを知る:NISA特設ウェブサイト:金融庁NISA(少額投資非課税制度)について学びましょう。 -
日本証券業協会|投資信託の仕組み
日本証券業協会

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