「ゴールド投資って、結局のところ本当に安心なの?」
ニュースで不安な言葉を目にするたび、
そんな疑問が胸に浮かんだことはありませんか。
金(ゴールド)は、昔から「安全資産」と呼ばれてきました。
けれど実際の記事や広告を見ていると、
メリットばかりが強調され、
肝心なデメリットはあまり語られていないように感じます。
実は僕自身、
資産運用や将来設計の相談を受ける立場で仕事をしてきましたが、
最初からゴールドを信じていたわけではありません。
チャートや数字の世界に身を置きながら、
「配当も利息も生まない金に、本当に意味があるのだろうか」
そんな半信半疑の気持ちを、ずっと抱えていました。
それでも、自分の資産の一部としてゴールドを持ち、
リーマンショック後の不安定な相場や、
世界情勢が大きく揺れる場面を何度も経験する中で、
少しずつ見え方が変わっていったのです。
ゴールドは「お金を増やすための道具」ではなく、
不安な時代を生きる私たちの心を守る、
“静かな保険”のような存在なのだと。
この記事では、そんな実体験をふまえながら、
ゴールド投資のメリットとデメリットを、
できるだけやさしく、正直にお話ししていきます。
ゴールド投資のメリットとは?

ゴールド投資のいちばんのメリットは、
「価値がゼロになりにくい」という、とても地味だけれど大切な点にあります。
株式は、企業が成長すれば大きなリターンを生みますが、
もし会社が倒産すれば、その価値は限りなくゼロに近づきます。
債券も同じで、
国や企業の「信用」が前提にあります。
信用が揺らげば、価格も揺らぎます。
一方で金(ゴールド)は、
どこかの国が保証しているわけでも、
誰かが「約束」してくれているわけでもありません。
それでも何千年ものあいだ、
世界中で価値が認められてきました。
この「誰にも依存していない」という性質が、
ゴールドのいちばんの強さだと、僕は感じています。
たとえば、インフレが進むと、
同じ1万円で買えるものは少なくなっていきます。
仮に物価が年2%ずつ上がり続けると、
10年後には、同じお金の実質的な価値は
およそ8割程度に目減りしてしまいます。
ゴールドは、こうした局面で
「お金の購買力が下がるスピードを和らげる役割」を
果たしてきました。
大きく増えなくても、
急激に失われにくい。
だから僕は、ゴールドをよく
「嵐の日に閉めておく雨戸」にたとえます。
晴れの日に部屋を明るくするわけではありません。
でも、風雨が強まったとき、
家と心を静かに守ってくれる。
ゴールド投資のメリットは、
目立たないけれど、
いざというときに「持っていてよかった」と感じやすいところにあります。
ゴールド投資のデメリットも正直に

ここまでゴールドの良い面をお話ししてきましたが、
もちろん、弱点がないわけではありません。
まず多くの方が気になるのが、次の3点です。
- 配当や利息が出ない
- 短期間で大きく増える資産ではない
- 為替の影響を受けることがある
たとえば株式であれば、
値上がり益に加えて、配当という「待っている間の収入」があります。
一方、ゴールドは保有しているだけでは、
毎年お金を生み出してくれるわけではありません。
仮に100万円を年3%の配当がある株に投資すれば、
単純計算で1年に3万円の収入が期待できます。
ゴールドには、こうした仕組みはありません。
また、価格の動きも比較的ゆっくりです。
数か月で資産が倍になるようなことは、
基本的に期待しないほうがいいでしょう。
さらに、日本円でゴールドを持つ場合、
金価格そのものに加えて、
為替(円高・円安)の影響も受けます。
「金は上がっているのに、円高であまり増えなかった」
そんな場面も、現実には起こります。
ここまで読むと、
「やっぱりゴールドは不利なのでは?」
そう感じるかもしれません。
でも、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいのです。
これらは本当に“欠点”なのでしょうか。
ゴールドは、
そもそも短期間で増やすことを目的とした資産ではありません。
値動きが穏やかで、
利息が出ないからこそ、
過度な期待や失望に振り回されにくい。
もし株式が「前に進むエンジン」だとしたら、
ゴールドは「ブレーキ」や「シートベルト」のような存在です。
どちらかが優れているわけではなく、
役割が違うだけ。
ゴールド投資のデメリットは、
見方を変えると、
資産全体を安定させるための性質でもあります。
大切なのは、
「増やしたいお金」と「守りたいお金」を、
きちんと分けて考えること。
その中でゴールドは、
静かに、でも確実に、
守る役割を果たしてくれる資産なのです。
ゴールド投資が向いている人・向いていない人

これまで多くの相談を受けてきて感じるのは、
ゴールド投資の向き・不向きは、
知識や年収よりも性格や心の反応に左右されるということです。
同じ商品を持っていても、
安心できる人と、落ち着かなくなる人がいます。
まずは、どちらが正しいかではなく、
「自分はどちらのタイプか」を考えてみてください。
ゴールド投資が向いている人
- 相場の上下を見るたびに、気持ちが揺れてしまう人
- 資産を増やすより、まず「減らさない」ことを大切にしたい人
- 老後や万が一の生活防衛を、現実的に考え始めた人
たとえば、株式だけで資産を持っていると、
相場が10%下がったときに、
100万円が90万円になる可能性があります。
この数字を見たとき、
「長期だから気にしない」と思える人もいれば、
「何か間違えたのでは」と不安になる人もいます。
後者のタイプの人にとって、
資産の一部にゴールドがあるだけで、
心の揺れはずいぶん小さくなります。
一方で、
ゴールド投資が向いていない人もいます。
- 短期間で資産を増やしたいと強く考えている人
- 値動きの大きさそのものを楽しめる人
こうした方にとって、
ゴールドの動きは、正直に言って物足りないはずです。
数か月で結果を出したい場面では、
ゴールドは、ほとんど活躍しません。
ここで大切なのは、
向いていないから「ダメ」なのではない、ということです。
投資は、
数字の問題に見えて、
実は心の耐久力が大きく影響します。
夜、布団に入ってからも相場のことが頭を離れない。
値動きが気になって、何度もスマホを見てしまう。
もし心当たりがあるなら、
それは相場が悪いのではなく、
その投資額が、今の自分にとって少し多いというサインかもしれません。
ゴールド投資は、
すべての人に必要なものではありません。
でも、安心して眠るための「余白」を作りたい人にとっては、
とても相性のいい選択肢になります。
投資で大切なのは、
他人と比べることではなく、
自分の心と折り合いがついているかです。
僕が考える「ちょうどいい」ゴールド投資

まずお伝えしたいのは、
ゴールドは決して万能な資産ではない、ということです。
不安な時代に心を支えてくれる存在ではありますが、
だからといって、
全資産を金にする必要はまったくありません。
僕がいちばん大切にしているのは、
ゴールドを「主役」にしないことです。
投資には、それぞれ役割があります。
株式は、
時間をかけて未来の成長を取りにいくための資産。
一方でゴールドは、
先の見えない不安や、
想定外の出来事を受け止めるための資産です。
たとえば、資産が500万円あるとします。
そのうちのすべてを株式に置いておくと、
相場が大きく下がったとき、
評価額も一気に揺れます。
ここで、全体の1割、50万円だけでもゴールドに分けておくと、
値動きの性質が違う分、
資産全体の揺れは思った以上に小さくなります。
この「揺れが小さくなる」という感覚が、
実はとても大切です。
数字の上では大きな差がなくても、
気持ちの面では、
投資を続けられるかどうかを左右します。
株式で未来を描きながら、
ゴールドで不安な未来をそっと受け止める。
この2つが同時にあると、
投資は「頑張るもの」から、
暮らしの一部に変わっていきます。
ちょうどいいゴールド投資とは、
たくさん持つことではありません。
相場が荒れても、
「まあ大丈夫か」と思える余白を、
自分の中につくっておくこと。
そのためのゴールドは、
少量でも、十分に意味があります。
次の記事では、
NISAや積立の中で、
この「ちょうどいいバランス」をどう形にしていくか、
もう少し具体的にお話ししますね。
まとめ

ゴールド投資は、
短期間で大きな利益を狙うためのものではありません。
今日買って、明日増える。
そんな派手さはありません。
それでも、世界中で、そして長い時間をかけて、
多くの人が金を手放さずにきたのには、
はっきりとした理由があります。
それは、ゴールドが
「安心という価値」を形にしてくれる資産だからです。
相場が上がれば喜び、
下がれば不安になる。
投資をしていると、
どうしても数字に心が引っ張られます。
でも、資産形成で本当に大切なのは、
資産額そのものよりも、
それとどう向き合えているかなのだと、
僕はこれまでの経験から感じています。
仮に、資産の一部が値下がりしても、
「ここがあるから大丈夫」と思える場所がある。
その感覚があるだけで、
人は慌てず、無理な判断をせずに済みます。
ゴールドは、
人生を大きく変えてくれる魔法の資産ではありません。
けれど、
不安な時代を生きる私たちの足元を、
静かに支えてくれる存在ではあります。
数字よりも、心の余裕を。
ゴールド投資は、
そんな生き方を選びたい人に、
そっと寄り添ってくれる資産です。


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